
前作の「きんとと」と作風をがらりと変え、海の近くにある、丘の上の家のお話。
日常のようで非日常な日々。そんな物語でした。
前公演のきんととのヒロイン睦は「寂しくないより寂しい方がよい」といい、今公演クラゲのヒロイン多美は「寂しい、寂しいんだよ」と寂しさを暴露します。正反対の言葉のようですが、根っこはきっと繋がっていて、それぞれのヒロインは、物語終盤、寂しいという感情を感じてようやく前を向いて歩き出すのです。
さて、今回のクラゲは、多美が自分の存在意義を家事に特に「ご飯を作る」ことにしていたため、本当に食事シーンの多い舞台になりました。
クロジ☆にとって最多の食事シーン。
本当にスタッフの方々に苦労をかけました。
いっそ削れるものがあるのではと考えたのですが、多美のためには全部必要だということになり、舞台裏は戦場と化したのでした。
最後に原稿を黒く塗り潰してしまった多美の、一言も誤らない多美の、だけどみんなを思って泣きながらご飯を作った多美の、いつものご飯を食べた時、きっと全員が、どこかで家族で、どこかで多美を理解して物語は終結していきました。
複線をはり、この人の行動はこの人に繋がり…など説明し始めたらきりがないストーリーで、実はひっそりと「伝わりづらいかな…」とも思っていたんです。
見ていただいた物語はお客様のものです。
どう受け止めどう感じていただけるかは皆様の中にある正解でよくて…でも伝わりづらいのは問題だっ…と。
全体は日常っぽい一見地味な物語だから最後何故あぁなるのか、何故みんなで食卓を囲むのか、囲めるのか。
多美の心の動線は追えるのか。
好き嫌い別として、もしかしたら分かりづらいのかもしれないと思ったのです。
だけど、本当に脱帽するほど皆様理解して下さり、本当に、本当にだから脱帽ですってばっ
と嬉しい叫びをあげました。
お客様あって初めて完成する舞台。
正に、クラゲはそれでした。
役者、スタッフ、正に一丸となり、本当にギリギリのギリギリまで作り続けたエンガワノクラゲ。
多分クロジ☆にとって最も、最後の最後までテコ入れした作品になります。
スタッフの方々にも、そこまでするなら最後まで闘いましょう、と頼もしい笑顔でご協力いただき、役者は誰一人として闘う事を放棄せず必死で立ち向かった物語、無事にお届けすることが出来て、本当に嬉しいです。
繊細で気使いで頑固な芝居好きばかりだった愛すべき役者陣。
どんな難題わがままな注文にも真摯に的確に答えて下さった頼もしいスタッフ陣。
そして
エンガワノクラゲのために新宿まで足を運んで下さったお陰様。
全てに感謝します。
本当にありがとうございました。
これは、こっそりと私だけの多美との秘密だったのですが。
千秋楽が終わり、あのエンガワのある家が壊される時、「見たくない…」と言っていたチビ多美マイタと「壊さないでっ」と小さく叫んだ多美ま〜さんの、2人の多美の気持ちが私にはとても嬉しく同時にあのエンガワの家には確かに多美という女性がいたのだと改めて感じてまた胸が熱くなりました。
君が必要だよ
そう言える覚悟と勇気を多美にもらい、クロジ☆の公演は、エンガワノクラゲは終焉致しました。
クラゲを通して、何かしら皆様に想いを届けることができたのならば、本当に幸せです。
乙女企画クロジ☆「エンガワノクラゲ」ご観劇、応援いただき本当にありがとうございました。
また劇場でお会いできたら。
乙女企画クロジ☆






